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海外の卵子提供の現状とそれにかかわる法律
卵子提供を検討している方の中には、「日本では受けられないの?」「海外なら選択肢があるの?」「費用や法律面は大丈夫?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
卵子提供とは、第三者から提供された卵子を使って体外受精を行い、妊娠・出産を目指す生殖補助医療のひとつです。日本国内では実施条件が限られているため、アメリカや台湾など海外での卵子提供を検討する方もいます。
ただし、海外で卵子提供を受ける場合は、国ごとの法律、費用、ドナー情報の扱い、帰国後の妊娠管理など、事前に確認すべきことが多くあります。単に「海外なら受けられる」と考えるのではなく、医療面・法律面・子どもの将来まで含めて慎重に判断することが大切です。
ここでは、アメリカやヨーロッパ、ロシア、アジアなど海外における卵子提供の現状とそれにかかわる法律についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
卵子提供とは?海外で検討される理由
卵子提供の基本的な仕組み
卵子提供とは、第三者であるドナーから提供された卵子を使い、体外受精によって胚を作成し、妊娠を希望する女性の子宮に移植する治療です。
一般的には、提供卵子と夫またはパートナーの精子を受精させ、できた胚を移植します。妊娠・出産するのは卵子提供を受ける女性ですが、子どもとは遺伝的なつながりを持たないことになります。
卵子提供は、主に以下のようなケースで検討されます。
- 加齢により自分の卵子での妊娠が難しい場合
- 早発卵巣不全などで卵子の確保が難しい場合
- 遺伝性疾患のリスクがある場合
- がん治療などにより卵巣機能が低下した場合
- 複数回の体外受精でも妊娠に至らない場合
卵子提供は妊娠の可能性を広げる選択肢のひとつですが、身体的・経済的・心理的な負担も伴います。また、ドナー、夫婦、子どもの将来に関わる治療であるため、十分な情報収集と話し合いが欠かせません。
日本で卵子提供を受けにくい理由
日本では、卵子提供は一般的な不妊治療として広く行われているわけではありません。日本国内では、一定の倫理審査や条件のもとで限定的に実施されています。
日本で卵子提供が受けにくい背景には、以下のような事情があります。
- 卵子提供に関する法律や制度が十分に整備されていない
- ドナーへの金銭的対価が認められにくく、提供者が限られる
- 子どもの出自を知る権利に関する議論が続いている
- 医療機関側の倫理的・法的負担が大きい
- 親族間提供が中心になりやすく、選択肢が限られる
そのため、国内での治療が難しい場合に、海外で卵子提供を受ける選択肢を調べる方がいます。
海外での卵子提供が選択肢になるケース
海外では、国や地域によって卵子提供に関する制度が整っている場合があります。特にアメリカや台湾などは、日本から卵子提供を目的に渡航する方が検討しやすい国として知られています。
海外での卵子提供が選択肢になるのは、たとえば以下のようなケースです。
- 日本国内で卵子提供を受ける条件に該当しない
- ドナー候補が身近にいない
- 匿名ドナーによる卵子提供を希望している
- 国ごとの制度や費用を比較したい
- 日本語サポートのある海外クリニックを探している
- 年齢や治療歴の面で、早めに別の選択肢を検討したい
ただし、海外で卵子提供を受ける場合は、その国で治療を受けられる条件、日本での親子関係、帰国後の妊娠管理、出生届、子どもへの告知など、多くの確認事項があります。渡航先を決める前に、医療機関や専門家に相談することが重要です。
日本と海外の卵子提供の違い
日本国内の卵子提供はJISART等の承認が必要
日本国内で卵子提供を受ける場合、誰でも自由に治療を受けられるわけではありません。医療倫理やガイドラインに適合しているかを確認するため、一定の審査や手続きが必要になる場合があります。
日本では、卵子提供をめぐって以下のような慎重な考え方があります。
- 子どもの福祉を最優先に考える必要がある
- 提供者への身体的負担がある
- 金銭目的の卵子提供を防ぐ必要がある
- 出産した子どもの出自を知る権利をどう守るか
- 家族関係や心理的影響に配慮する必要がある
そのため、日本国内では卵子提供を受けるまでのハードルが高く、実施件数も限られています。
一方で、海外では国によって制度が異なり、商業的な卵子提供が認められている国もあれば、厳しく制限している国もあります。海外を検討する場合は、「その国で卵子提供が可能か」だけでなく、「どのような条件で可能なのか」を確認する必要があります。
海外では国ごとに法律・制度・対象者が異なる
海外の卵子提供は、国によって法律や制度が大きく異なります。
たとえば、法律婚の夫婦のみを対象とする国もあれば、独身女性や事実婚カップル、同性カップルが治療を受けられる国もあります。また、年齢制限、婚姻状況、ドナーの匿名性、提供回数、報酬の有無、胚の取り扱いなども国ごとに異なります。
海外で卵子提供を受ける際に確認したい主な項目は以下です。
| 確認項目 | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 法律 | 卵子提供が合法か、どのような条件で認められているか |
| 対象者 | 法律婚夫婦のみか、独身・事実婚・同性カップルも可能か |
| 年齢制限 | 治療を受けられる年齢に上限があるか |
| ドナー条件 | ドナーの年齢、健康状態、遺伝子検査の有無 |
| ドナー情報 | 匿名か、将来開示される可能性があるか |
| 費用 | 治療費、ドナー関連費、薬代、渡航費を含めた総額 |
| 帰国後対応 | 日本の医療機関と連携できるか |
国名だけで判断せず、実際に利用するクリニックやエージェントがどの制度のもとで運営されているかを確認することが大切です。
対応卵子提供エージェント一覧はコチラ匿名ドナー・出自を知る権利の扱いも国によって違う
卵子提供では、ドナー情報をどこまで知ることができるかも重要なポイントです。
ドナー情報には、年齢、身長、体重、血液型、学歴、職業、病歴、家族歴、写真、遺伝子検査結果などが含まれることがあります。ただし、どこまで開示されるかは国やクリニックによって異なります。
海外卵子提供を検討する際は、以下の点を確認しましょう。
- ドナーは匿名か、非匿名か
- 子どもが将来ドナー情報を知ることができるか
- 開示される情報はどこまでか
- ドナー情報は公的機関で管理されるのか
- 近親婚防止のための仕組みがあるか
- 子どもへの告知をどう考えるか
卵子提供は、治療を受ける時点だけでなく、子どもが成長した後にも関わるテーマです。夫婦だけでなく、将来生まれてくる子どもの立場も含めて考える必要があります。
卵子提供に関わる海外の法律
アメリカ
アメリカでは、卵子提供を含む生殖補助医療に係る包括的な規制が設けられておらず、連邦法、州法ともに存在していません。そのため、卵子提供の自由度が高いといえるでしょう。
生殖補助医療によって生まれた子どもの親子関係については「統一親子関係法(2000年)」などのモデル法があり、州によっては採用しているようです。ただ、卵子提供についての規定を設けている州はほとんどありません。
ヨーロッパ
スイス
スイス政府は、2025年1月に生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針について発表しました。政府は、未婚や既婚を問わず、すべてのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示したとされています。
エリザベット・ボーム・シュナイダー内相は、記者会見の中で、多くのカップルが卵子提供のために、海外へ渡航していることにも触れ、スイスでも可能にすべきではないかと述べていました。
生殖補助医療法の改正草案には、体外受精時の1回の治療サイクルで生成できる胚の最大数の緩和についても含まれる見込みとなっています。2026年末までに草案が意見聴取に付される予定となっています。
フランス
フランスでは1994年に「生命倫理法」を定めており、生殖補助医療が受けられる対象を、法律婚または事実婚の異性カップルのみとしていました。しかし2021年6月29日に同法を改正され、既婚・独身・同性カップルを問わず生殖補助医療を受けられるようになりました。
また、子どもの出自を知る権利も認められるようになり、原則的には匿名での卵子提供であるものの、子どもが望めばドナーの情報を得ることができるようになりました。
スペイン
ヨーロッパのなかでも卵子提供の実績が豊富だといわれているスペイン。スペインでは1988年に「生殖補助技術法」を制定したのち、2006年に「ヒト生殖補助技術法」を新たに設けました。
卵子提供を含む生殖補助医療への政策は寛容的であり、独身女性や同性カップルなども卵子提供を受けることができます。
ベルギー
ベルギーもスペインと同様に、卵子提供を含む生殖補助医療に寛容的な国です。ベルギーでは姉妹や友人からの卵子提供が多く、匿名での卵子提供も可能。
2003年に「胚研究法」を制定し研究目的での胚利用は禁止されていました。2007年に定められた「生殖補助医療及び余剰胚・配偶子利用法」では、生殖に利用されなかった余剰胚は研究用あるいは第三者への提供、または廃棄の3つの選択肢からドナーの意思で選べるようになっています。
イタリア
2004年に生殖補助医療法が制定されたイタリアでは、長らく卵子提供は禁止されていました。そのため、不妊カップルは外国で生殖補助医療を受けなければなりませんでした。しかし2014年に「家族をもつ権利に違反している」という司法判断が下されたため、卵子提供が認められるようになったようです。
イギリス
イギリスでは卵子提供が認められているものの、匿名は不可としています。また、2004年に「ヒト受精・胚研究認可庁(提供者情報開示)に関する規則」が制定されており、子どもの出自を知る権利認めています。そのため、氏名や生年月日の情報公開に同意したドナーのみが卵子提供を行えます。
ロシア
ロシアでも卵子提供が行われているものの、生殖補助医療や卵子提供に係る法律について、情報が見つかりませんでした。
アジア
タイ
2015年に制定された「生殖補助技術によって生まれた子どもの保護を定める法律(生殖補助技術法)」にて、商業的代理出産が禁止されたほか、利他的な目的だけが認められています。
卵子提供自体は合法となっていますが、代理出産との関連で規制があります。タイにおいての法律は、代理出産の過程における倫理的な問題や、子どもに関することから批判されています。
とりわけ、代理出産が人身売買や児童売買につながる可能性についても問題視されています。また、タイ人の代理母・遺伝子の母のどちらが子どもの母親になるのかという問題もあります。
このような課題を解決することが、タイにおいての生殖補助医療に関する今後の大きなテーマです。
韓国
2003年に「生命倫理法」を制定。不妊治療目的以外のヒト受精胚の作成や、精子・卵子の売買を禁じています。
台湾
台湾では2007年に制定された「人工生殖法」によって、法律婚カップルのみを対象に精子あるいは卵子一方の提供が認められています。また、生殖補助医療によって誕生した子どもについて、近親結婚を回避する目的として、当局への情報開示依頼が可能になっています。
中国
2001年に「ヒト生殖補助技術管理規則」と「ヒト精子バンク管理規則」を制定。法律婚のカップルのみを対象に、生殖補助医療の実施が認められており、独身女性への卵子提供は行われていません。
参考資料
参考:JISART公式サイト


