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海外の卵子提供の現状とそれにかかわる法律

近年、日本における「特定生殖補助医療法」案が提出され、第三者からの生殖補助医療に関する法的枠組みが整備されつつあります。

精子・卵子提供による生殖補助医療に関するこの法案は、2025年2月に自民・公明などによって参院へ提出されました。

2025年5月、参院議院運営委員会は法案の審査を内閣委が担当することに決まり、国会の審議入りが見込まれている状況でした。しかし、6月5日今国会での実質的な審議入りが見送られるという報道がされている現状です。

海外での卵子提供を検討する上で、各国の現状を踏まえつつ、日本の法改正も考慮する必要があります。ここでは、アメリカやヨーロッパ、ロシア、アジアなど海外における卵子提供の現状とそれにかかわる法律についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

海外の卵子提供の現状

卵子提供は、国によってさまざまな見解がもたれています。卵子提供に係る法律も同様であり、卵子提供を受けられるものの包括的な規制がない国もあれば、法律で卵子提供を禁止している国も。

卵子提供を受けられる国としては、アメリカやスペイン、フランス、ベルギー、イギリス、韓国などいくつかあります。卵子提供を含む生殖補助医療の法律や規定は国によって異なるため、海外での卵子提供を検討している場合はしっかりと調べておきましょう。

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卵子提供に関わる海外の法律

アメリカ

アメリカでは、卵子提供を含む生殖補助医療に係る包括的な規制が設けられておらず、連邦法、州法ともに存在していません。そのため、卵子提供の自由度が高いといえるでしょう。
生殖補助医療によって生まれた子どもの親子関係については「統一親子関係法(2000年)」などのモデル法があり、州によっては採用しているようです。ただ、卵子提供についての規定を設けている州はほとんどありません。

ヨーロッパ

スイス

スイス政府は、2025年1月に生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針について発表しました。政府は、未婚や既婚を問わず、すべてのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示したとされています。

エリザベット・ボーム・シュナイダー内相は、記者会見の中で、多くのカップルが卵子提供のために、海外へ渡航していることにも触れ、スイスでも可能にすべきではないかと述べていました。

生殖補助医療法の改正草案には、体外受精時の1回の治療サイクルで生成できる胚の最大数の緩和についても含まれる見込みとなっています。2026年末までに草案が意見聴取に付される予定となっています。

フランス

フランスでは1994年に「生命倫理法」を定めており、生殖補助医療が受けられる対象を、法律婚または事実婚の異性カップルのみとしていました。しかし2021年6月29日に同法を改正され、既婚・独身・同性カップルを問わず生殖補助医療を受けられるようになりました。
また、子どもの出自を知る権利も認められるようになり、原則的には匿名での卵子提供であるものの、子どもが望めばドナーの情報を得ることができるようになりました。

スペイン

ヨーロッパのなかでも卵子提供の実績が豊富だといわれているスペイン。スペインでは1988年に「生殖補助技術法」を制定したのち、2006年に「ヒト生殖補助技術法」を新たに設けました。
卵子提供を含む生殖補助医療への政策は寛容的であり、独身女性や同性カップルなども卵子提供を受けることができます。

ベルギー

ベルギーもスペインと同様に、卵子提供を含む生殖補助医療に寛容的な国です。ベルギーでは姉妹や友人からの卵子提供が多く、匿名での卵子提供も可能。
2003年に「胚研究法」を制定し研究目的での胚利用は禁止されていました。2007年に定められた「生殖補助医療及び余剰胚・配偶子利用法」では、生殖に利用されなかった余剰胚は研究用あるいは第三者への提供、または廃棄の3つの選択肢からドナーの意思で選べるようになっています。

イタリア

2004年に生殖補助医療法が制定されたイタリアでは、長らく卵子提供は禁止されていました。そのため、不妊カップルは外国で生殖補助医療を受けなければなりませんでした。しかし2014年に「家族をもつ権利に違反している」という司法判断が下されたため、卵子提供が認められるようになったようです。

イギリス

イギリスでは卵子提供が認められているものの、匿名は不可としています。また、2004年に「ヒト受精・胚研究認可庁(提供者情報開示)に関する規則」が制定されており、子どもの出自を知る権利認めています。そのため、氏名や生年月日の情報公開に同意したドナーのみが卵子提供を行えます。

ロシア

ロシアでも卵子提供が行われているものの、生殖補助医療や卵子提供に係る法律について、情報が見つかりませんでした。

アジア

タイ

2015年に制定された「生殖補助技術によって生まれた子どもの保護を定める法律(生殖補助技術法)」にて、商業的代理出産が禁止されたほか、利他的な目的だけが認められています。

卵子提供自体は合法となっていますが、代理出産との関連で規制があります。タイにおいての法律は、代理出産の過程における倫理的な問題や、子どもに関することから批判されています。

とりわけ、代理出産が人身売買や児童売買につながる可能性についても問題視されています。また、タイ人の代理母・遺伝子の母のどちらが子どもの母親になるのかという問題もあります。

このような課題を解決することが、タイにおいての生殖補助医療に関する今後の大きなテーマです。

韓国

2003年に「生命倫理法」を制定。不妊治療目的以外のヒト受精胚の作成や、精子・卵子の売買を禁じています。

台湾

台湾では2007年に制定された「人工生殖法」によって、法律婚カップルのみを対象に精子あるいは卵子一方の提供が認められています。また、生殖補助医療によって誕生した子どもについて、近親結婚を回避する目的として、当局への情報開示依頼が可能になっています。

中国

2001年に「ヒト生殖補助技術管理規則」と「ヒト精子バンク管理規則」を制定。法律婚のカップルのみを対象に、生殖補助医療の実施が認められており、独身女性への卵子提供は行われていません。

参考資料

参考:衆議院:特定生殖補助医療に関する法律案

参考:【PDF】諸外国における生殖補助医療に係る制度に関する研究

参考:【PDF】海外における生殖補助医療法の現状

参考:【PDF】生命倫理専門調査会 資料

参考:産経新聞 フランス、既婚・未婚問わず全女性に人工授精の権利 生命倫理法改正

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