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渡航不要の卵子提供サービスはある?
エージェントによっては
渡航せずに受けられることも
日本国内にあるエージェントの中には、海外渡航せずに卵子提供を受けられるプランを実施しているところがあります。コロナ禍以降、感染リスクの懸念から、渡航の規制が緩和されたあとも利用する夫婦も多いようです。
ここでは、渡航不要の卵子提供プランを受けるメリットや渡航せずに卵子提供を受ける流れ、渡航不要プランに対応しているエージェントをご紹介します。
渡航不要プランを受けるメリット
体への負担が少ない
海外渡航による卵子提供の場合、一般的に2度ほど渡航する必要がありますが、渡航不要プランなら国内にいながらにして卵子提供を受けられるため、長時間の移動による体への負担がありません。海外渡航による何らかの感染症リスクを防ぐことにもなるため、結果として負担軽減につながります。
自宅から出ずにカウンセリング~検診が可能
渡航不要プランの卵子提供プログラムは、初回のカウンセリングから検診までオンラインで実施されます。はじめは外出の必要がなく、国内のクリニックへの通院も最小限で済みます。
渡航しない場合の卵子提供の流れ
まず、エージェントが提携している海外のクリニックとの面談とコンサルテーションを、SkypeやZoomなどのオンラインで実施します。
治療の同意や移送契約の後、奥さんは国内のクリニックで検査、旦那さんも国内のクリニックで採精・凍結をして、凍結した精子を国外に移送します。
一方、卵子ドナーも国内で採卵。採卵した卵子を凍結して、凍結卵子として精子と同じように移送します。
凍結した精子と卵子は現地によって受精・培養が行われ、正常胚のみを凍結。その後、日本へ移送して、妻は日本のクリニックで凍結胚を子宮へ移植するのが主な卵子提供の流れです。
通常の卵子提供との比較
通常の卵子提供費用
通常の卵子提供プランでは、提供者の選定から、移植までの流れにおいて様々な費用が発生します。一般的には以下のような費用項目が含まれます。
- 提供者のスクリーニング費用
- 提供者への報酬
- クリニックでの医療費
- 渡航費(提供者と受け取り者の双方の渡航が必要な場合)
- 滞在費
これらの費用は、通常合計で約300~500万円ほどになることが一般的です。また、提供者が国外にいる場合、その渡航費や滞在費が追加されることがほとんどで、総費用がさらに増加する可能性があります。
渡航不要プランの費用
一方で、渡航不要プランを利用する場合、いくつかの費用が削減されるため、全体の費用が抑えられます。
- 提供者の渡航費および滞在費が不要
- 移動に伴う時間とストレスの軽減
- 国内でのスクリーニングと医療手続きの一貫性の確保
渡航不要プランの総費用は、約200~400万円ほどとなることが多く、特に提供者の渡航費や滞在費がかからないため、全体の費用を抑えられます。国内での手続きが一貫して行われるため、手続きの透明性や迅速さも確保される点がメリットです。
また、渡航不要プランでは、国内の法律や規制に準拠した形で提供が行われるため、法的なリスクを減らすことができます。これにより、提供者と依頼者の双方にとって安心できる環境で卵子提供を進めることが可能です。
渡航不要プランのリスク
温度変化による損傷
適切な温度管理が行われていない場合、凍結保存された卵子・胚が解凍してしまったり、細胞がダメージを受けたりする可能性があります。ドライシッパーを使用しない場合や、輸送中の温度管理がしっかりと行われていない場合、細胞へのダメージのリスクが高まります。
そのため、ドライシッパーの使用はもちろん、輸送中も容器内の温度をしっかりと監視するなど、細心の注意を払うことが重要です。
振動や衝撃による損傷
移送中に振動・衝撃を伴うと、卵子・胚に物理的なダメージを与えてしまうことになり、細胞の損傷・死滅につながってしまう可能性があります。中でも、航空輸送など、強い振動や衝撃を伴う輸送方法を選択する場合は、厳重に管理しなければなりません。
汚染による損傷
移送の際、細菌・ウイルスなどの汚染物質が侵入してしまった場合、卵子が汚染されてしまい、品質低下や感染症を引き起こすリスクがあります。このようなことを防ぐには、衛生管理を徹底したり、適切な感染対策を講じたりできる卵子提供エージェントを選択する必要があります。
紛失・破損
移送している際、卵子・胚の入った容器を破損してしまったり、紛失したりする可能性もゼロとはいえません。保管中や移送を行った後、何らかの理由で破損する可能性もあります。
リスクへの対策「ドライシッパー」
輸送専用容器であるドライシッパーは、内側にある特殊な吸着剤へ液体窒素を吸収させ、気相状態で極低温(-150度以下)をおよそ2週間維持することができる輸送容器です。もしも、ドライシッパーが傾いてしまったとしても、容器内の液体窒素が漏れる心配はありません。
ドライシッパーは、IATA Dangerous Goods Regulations 特別規定 A152により、航空機内へ持ち込むことが認められているのが特徴です。また、ドライシッパーは、振動や衝撃から卵子を保護するために設計された特殊な容器です。運転中は、固定ベルトで固定して運ぶことにより、デリケートな卵子を安全に移送できます。
大切な細胞を移送するタンクと容器の間には、高性能な緩衝材を使用します。この緩衝材は、異なる周波数の振動を低減する構造になっています。
卵子提供エージェントの輸送スタッフは、IATA(国際航空運送協会の輸送に関わる講習)を受講している専門的なスタッフであるケースが多く、医療的な知識が豊富な人材が多いです。
移送中に起こりうるリスクについて熟知しており、適切に対応してくれます。卵子提供エージェントを選ぶ場合、費用や対応エリアだけではなく、これまでの実績やサポート体制なども確認しておきましょう。
参照元:アクトワン(https://acto-uno.com/細胞の凍結移動/)
渡航不要プランに
対応しているエージェント
アクトワン
卵子提供の成功率が高いハワイのクリニックと連携し、渡航不要で卵子提供を受けられるプランを実施しています。夫の採精・凍結も卵子ドナーによる採卵も国内で行うため、夫婦ともに渡航の必要がありません。
IFC
バーチャルでの面談とカウンセリングに加え、精子凍結や着床前診断までを日本で行える「バーチャル初回検診プラン」を実施。胚移植の実施についても数種類のプランが用意されており、渡米せずに卵子提供プログラムを受けられます。
メディブリッジ
メディブリッジは、国内で完結する卵子提供プランを提供している信頼性の高いエージェントです。専門医と提携し、一定の品質を保った医療サービスを提供しています。特に、提供者の選定から移植に至るまでを一貫してサポートする体制を整えているほか、医療技術とノウハウを駆使し、成功率の向上にも努めています。
モンドメディカル
モンドメディカルでは、国内での卵子提供を希望するカップルに向けたプランを提供しています。経験豊富なスタッフがサポートし、スムーズなプロセスを実現します。さらに、個別のカウンセリングを通じて、カップル一人一人のニーズに合わせたサポートを行っています。長年の実績にもとづく信頼性の高さが特徴です。
リプロパートナーズ
リプロパートナーズは、国内完結型の卵子提供プランを提案しているエージェントです。個別のニーズに合わせたサービスを提供し、カスタマイズ可能なプランが特徴。また、提供者の選定から施術までしっかりサポートしてくれます。医療技術と経験豊富なスタッフによる手厚いサービスが魅力です。
アクアビューティ
アクアビューティは、国内での卵子提供に特化したサービスを提供しており、カップルの要望に応じた柔軟な対応が可能です。特に、提供者のスクリーニングや医療手続きにおいて、品質を維持しています。利用者が安心して利用できるような寄り添ったサービスが魅力です。