はじめての卵子提供ガイド

はじめての卵子提供ガイド

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卵子提供とは

卵子が病気・加齢などの原因により妊娠が困難な場合に行われる方法です。卵子の提供を受け、精子と顕微授精させます。そしてできた受精卵を奥さんの子宮に移植して妊娠が成立、子宮に問題がなく卵子に原因があった場合は、卵子を提供してもらうことで妊娠成功率が劇的に上がると言われています。赤ちゃんは奥さんとの血のつながりはないものの、自分で妊娠・出産を行うことができる上、夫婦の「戸籍上の実子」として扱われます。

日本人女性の晩婚化に伴う不妊の悩み

現代の日本人女性は、結婚年齢が上昇しているため、それに伴い不妊に悩む夫婦もたくさんいらっしゃいます。女性の妊娠のしやすさは、一般的に34歳頃から下がり始め、40歳前には急激に低下してしまうのです。若くて健康な卵子の提供をドナーから受けることで、高い妊娠率はもちろんのこと、高齢出産であっても高い出産成功率を望めます。
日本の不妊治療の成功率は、奥さんの年齢が40歳なら約8%。45歳以上になるとわずか1%以下の人しか出産までたどり着きません。
それに対して卵子提供の成功率は約80%。10倍もの差があるのです。

卵子提供にかんするデータ

  • 卵子提供による出産数:推計300~400人(全体の0.051% ※この数値は2012年のデータのため、現在ではさらに増えていると考えられるでしょう。)
  • 母親の平均年齢:45.2歳(40代後半が最も多い。中には55歳以上の方や30代の方も)
  • 主な対応地域:マレーシア(クアラルンプール)、アメリカ(ロサンゼルス・サンフランシスコ、ハワイ)
  • 1回目の移植にかかる平均費用:300万~500万円(渡航費・滞在費は含まず)
  • 1回目の移植での妊娠率:75~80%(最終的な妊娠率は90%以上)

国内で卵子提供は受けられるの?

卵子を提供してもらうドナーは、親族orドナーバンクで探すことになります。しかし国内で施術したい場合、JISARTという不妊治療のクリニック団体が定めた国内基準により「病気が原因で早期閉経になった」または「遺伝的に妊娠が不可能」という条件がつき、ドナーも親族のみに限られています。卵子提供を望む人の大多数が高齢出産を目的としているため、施術を受けること自体が非常に困難です。ドナーバンクの利用もできません。このような理由から、海外で施術を受けるケースがほとんどになります。

卵子提供を受けるには

では、卵子提供治療を受けるにはどうすればいいのでしょうか?卵子提供の希望者の多くは、国内ではなく海外のクリニックで施術を受けています。もちろん国内で卵子提供を受けられるのであれば、それに超したことはないでしょう。しかし日本で卵子提供の対象となっているのは、「病気が原因で早期閉経になり妊娠が困難となった人」がメインです。卵子提供を望む人の多くは「加齢」・「卵子の老化」によって妊娠が難しくなっているのに、これらの人は対象になっていません。
また卵子提供の国内の認識は低く否定的な意見が圧倒的に多いため世界と比べてかなりの遅れがあります。産婦人科学会のガイドラインでも「卵子提供は法が整備された場合に認める。その場合匿名ドナーからで、近親者間は認めない」と示されています。つまり法律が整備されるまで、実現はされないということです。これらの理由から卵子提供を利用して子供を授かりたい夫婦は、卵子提供が合法化された国で移植を受けるのが現実的な方法です。

日本の卵子提供

  • すべての施術をJISART(日本生殖補助医療標準化機関)が管轄
  • 2007年~2010年の10年間で実績合計77件
  • 卵子提供に対して否定的な意見が多い
  • 加齢による不妊は対象にならない
  • 卵子提供は親族に限られる

海外の卵子提供

  • 加齢による不妊でも対象になる
  • 施術レベルが高い
  • ドナーバンクを利用できる
  • 日本人ドナーを選ぶことも可能
  • 合法化されている国なので卵子提供に対して好意的
  • 通訳や送迎など現地でのサポートはエージェントが行う

海外で卵子提供を受けるなら

では海外で卵子提供を受けようと思った場合、個人で一から現地のクリニックを探したり手続き等を行ったりするのは大変ですよね。言葉の壁もありますし、こちらの疑問や要望がきちんと伝わっているかも心配になります。海外で行うときは、まず卵子提供の専門エージェントに依頼するのが一般的です。国内には海外で卵子提供を行うためのサポートを担っているエージェントが複数あり、卵子提供が合法化されているロサンゼルス・ハワイ・バンコクなどの国で移植手術ができるよう取り計らっています。

また卵子提供に否定的な意見の多い日本だと、卵子提供を受けることに対してどこか後ろめたさを感じてしまいがちです。しかし卵子提供が合法化されている国の現地スタッフは卵子提供に対して好意的な印象を持っているため「一緒に頑張りましょう!」と非常に前向きな姿勢でサポートしてくれます。ほとんどのエージェントが斡旋してくれる国は、日本人もよく訪れているロサンゼルス・ハワイ・バンコクなど。これらは比較的治安も良く、観光名所もたくさんあるので過ごしやすいですよ。「海外に一人で行くのが不安」という人でも大丈夫。ちょっとした気分転換として現地のツアーに参加したり、ショッピングに出かけたりするときでも、現地スタッフができるだけサポートしてくれます。

専門エージェントを利用するメリット

専門エージェントに依頼することで、卵子提供が広く普及している海外で高いレベルの施術が受けられ、日本人の卵子ドナーもたくさん登録されていて、写真などの情報を見ながら自分で選択することも可能。広い選択肢から決められるので、生まれてくる子供の容姿があまりに異なり「母親が違うのでは?」と卵子提供が発覚するケースも少ないのではないでしょうか。
また、移植手術のために海外に数日間滞在することになりますが、病院での通訳や送迎なども現地のスタッフにお任せできるので余計な心配をせずに施術に専念できますよ。

人生の大きな決断なので、卵子提供エージェント選びは慎重に行いたいですよね。こちらでは日本人向けの卵子提供エージェントを5団体、ご紹介しています。それぞれ国別の費用・対応地域・日本法人か否か・口コミを表にまとめ、比較・検討しやすくなっておりますので是非参考にしてください。最適な卵子提供エージェントを選ぶポイントもご紹介しています。

卵子提供エージェント比較一覧はこちら

日本と海外では不妊治療への考え方はもちろん、技術面でも大きく異なっています。医療先進国であるアメリカだけでなく、アジア諸国でも医療技術は著しく進歩しています。海外では卵子提供以外にも、精子提供や代理出産なども普及しているのです。
「海外の卵子提供事情と国別の対応エージェント」では、これらの詳しい説明と、ハワイ・ロサンゼルス・カリフォルニア・台湾・マレーシア・ヨーロッパの対応についてご紹介します。

卵子提供の体験談

どうして卵子提供を受けようと決断したのか、国内外でのエージェントの対応はどのようなものだったか、卵子ドナーはどのように決めたのか…など、実際に卵子提供を受けた方から様々な意見を聞くことができました。さらに、皆様のご厚意で匿名での公開をさせていただけることになりました。今後、卵子提供を受ける方に有益な情報となれば幸いです。

連続で失敗

長い長い不妊治療でしたが、ようやく母になることができそうです。国内の病院で何年も不妊治療を行っても結果は出ず、ドクターは「もう妊娠は難しい」との判断。その時点で諦める方が多い中、私達は最後の手段として残していた卵子提供による治療を受けようと決意しました。 初回はものすごく期待していましたが、妊娠できず。顕微授精の10倍くらいの費用がかかっていたので、精神的にも経済的にもものすごく痛かったのを覚えています。その後、2回目…3回目…連続で失敗。二人で話し合い、「成功したらいいね」というくらいの期待でいようと考えを改めました(とはいえ、失敗だったときの雰囲気は重苦しくて何ともいえないものでしたが…)。

諦めなければ願いは叶う

残してある凍結胚がなくなったら諦めようと思っていた4回目、ついに念願の妊娠!私のお腹に小さな命がようやく宿ってくれたのです。諦めなければ願いは叶うと証明された瞬間でした。現在は早期流産防止のために毎日自己注射をしておりかなり痛いのですが、今までの心の痛みに比べたらこんなのは痛いうちに入りません。毎週病院で育っていく小さなわが子(11週時点で37mmになりました)を見るたびに、可愛くて仕方がありません。

兄弟をつくることだって

まだこの子を産んでもいないのに先の話になりますが、冷凍保存した受精卵が残っているのでもしかしたら兄弟もつくれるかもしれません。とりあえず、まだ先のことは夫婦で相談しながら。今はお腹に居るこの子だけに専念して、念願の子育てを楽しみたいと思います。

4年以上の不妊治療も散々な結果

私は結婚が遅かったこともあり、すぐに子供をと思っていましたが、初めての妊娠は8週目での流産。その後半年くらいは「すぐに授かるよ」と思っていたのですが、なかなか結果が出ずやむなく不妊治療を始めることに。
結局初回の妊娠から4年以上も病院に通い、都内から福岡の有名病院に通ったりしてみましたが、結果は散々なものでした。このまま続けても年齢的にも限界を感じ、卵子提供を受けようと夫婦で話し合って決めました。

海外でも安心して施術

仕事を持っているので日程の調整がなかなか付きませんでしたが、なんとか都合をつけてタイへ。まったく言葉がわからない環境の中、日本人スタッフの方々が大変親身になってくれたり、病院のドクター(現地の方でした)は言葉は通じなくとも優しい笑顔で不安はかなり和らぎました。ドナーの方にも負担を強いてしまうことが心配でしたが、体への負担も幸い軽く、観光を楽しむ余裕があったとの話をスタッフさんから伺えたので安心しました。良い卵子をありがとうございました。

長い時間が報われた瞬間

とっても長い時間がかかってしまいましたが、スタッフの皆様、ドナー様、現地のクリニックの皆様に支えられ、今こうして幸せを感じられています。

卵子提供を受けた人の体験談

卵子提供を受けるために知っておきたいQ&A

知名度が上がってきているとはいえ、まだまだ馴染みのない卵子提供。どのような制度なのか、そして卵子が実際に提供されるまでの具体的な流れ、体験談をご紹介します。さらに「卵子提供が必要なのはどのような人なのか」、「卵子提供を受ける前の検査内容」、「もし妊娠できなかった場合」、「リスクはあるのか」、「ドナーと直接会うことはできるのか」などの気になる点もQ&A形式でお答えしています。

受ける条件はある?

卵子提供を受けたい場合、条件はあるのでしょうか?国内と海外の条件についてまとめました。

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かかる費用は?

卵子提供を受けるには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?事例を参考にご紹介します。

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受ける流れは?

卵子提供を受けて妊娠が成立するまでの流れを詳しく追ってみましょう。

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ドナーはどうやって探すの?

ドナーの探し方と卵子バンクについてご紹介します。

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国内・国外どちらで受けるべき?

国内・国外の現在の施術状況についてご紹介します。

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卵子提供と代理母の違いは?

卵子提供と代理母の法律上の扱いについてご紹介します。

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卵子提供のリスクは?

卵子提供のリスクについての内容をQ&A形式でまとめてみました。

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子どもを持つための選択肢の一つである「特別養子縁組」とは?

さまざまな事情で幸せな家庭環境を得られない子どもの福祉のために作られた「特別養子縁組」制度。子どもを迎える一つの方法として、近年成立件数が増加しています。制度の仕組みや普通養子縁組との違い、活用の仕方について詳しく見ていきましょう。

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エッグドナーの選び方

エッグドナーの選び方は人それぞれのため、こうあるべきという正解はありません。ほかの方がどのように選んだのか知りたいという方に向けて、実際に卵子提供を受けた方の実例を紹介します。

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卵子提供の出産成功率は?

卵子提供を受けるにあたってやはり気になるのが、出産成功率です。自身の卵子を使った体外受精の出産成功率と卵子提供を受けての出産成功率を紹介。また、不妊治療における卵子提供のニーズについてもまとめています。

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加齢とともに起こる卵子の質の低下

卵子の原材料ともいえる卵母細胞は胎児の頃に製造され、生後新たに作られることはありません。加齢とともに起こる卵子の質の低下にはどのようなものがあるのか、その問題点について解説します。

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卵子の高齢化と「卵子提供」の意味

不妊に悩んでいる人にとって問題となるのが卵子の高齢化(老化)です。卵子の高齢化とはどういうものか、高齢化によるリスクにはどのようなものがあるのかについて解説します。

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卵子提供における子どもと親の関係性

卵子提供で子どもを授かった場合、子どもと両親の遺伝的な関係がどのようなものになるのかを解説。また、戸籍上ではどのような処理がされるのかについてもまとめています。

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胚培養士とは

胚培養士は、採卵・採精した卵子と精子を受精させ、母体に移植するまでの間に胚凍結や胚融解、培養などを行う仕事です。不妊治療を希望する患者さんが増え、医師だけでは対応が難しくなっていることから、胚培養士のニーズが高まっています。

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海外の卵子提供事情と国別の対応エージェント

不妊治療への意識は国内と海外では大きく異なっています。そういった背景から、海外で不妊治療をしようと思っている方も年々増加傾向にあり、対応できるエージェントも増えてきています。海外の卵子提供事情と国別の対応エージェントについてご紹介します。

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JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の基準とは

「安心と安全と満足を実感していただける生殖医療を提供する」という理念の元に設立され、国内での卵子提供施術を統括しているのがJISARTです。 ここではJISARTで卵子提供を受けるための基準についてご紹介します。

JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の基準とはを詳しく見る

【番外編】卵子ドナー(エッグドナー)を希望する方へ

卵子提供に欠かせないのが、「卵子ドナー(エッグドナー)」の存在です。卵子ドナーになると排卵調整のために様々な薬を服用したり、採卵のために海外に赴いたり、拘束時間が長かったりと大変なことがたくさんあります。卵子ドナーのメリット、ドナー登録から卵子提供までの流れ、リスク、体験談などをご紹介します。

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【2023年版】卵子提供に関するニュースまとめ

卵子提供のニーズが高まっているなか、卵子提供を取りまく環境もどんどん変化しています。卵子提供の現状を知ることは、卵子提供を検討するうえでも大切です。国内外の卵子提供・不妊治療に関するニュースを紹介しながら、卵子提供の現状や不妊治療の今後について考えていきます。卵子提供の今が知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。

【2023年版】卵子提供に関するニュースまとめ

はじめての卵子提供ガイド

40歳以上、早期閉経、ターナー症候群など、排卵の不順が原因で悩む方のための新しい不妊治療「卵子提供」。今や年間300人以上の赤ちゃんが、卵子提供によって誕生しています。そんな卵子提供について、日本が置かれている現状や、海外で移植を受けるために知っておくべきこと、また提供を受けた方、ドナーとなった方それぞれの体験談をリサーチした結果を掲載。卵子提供を望むご夫婦の強い味方となってくれる、国内のエージェントの一覧も掲載しておりますので、参考にしていただければ幸いです。

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