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卵子提供時の妊娠高血圧症候群について
妊娠高血圧症候群とは
妊娠高血圧症候群とは妊娠時に高血圧を認められた場合の病気で、症状に応じて妊娠高血圧腎症・妊娠高血圧・加重型妊娠高血圧腎症・高血圧合併妊娠に分類されます。妊娠高血圧症候群は妊婦の約20人に1人が発症するとされ、妊娠34週未満で発症した場合は重症化しやすいので注意が必要です。
重症化すると血圧上昇や蛋白尿、けいれん発作、脳出血、肝臓・腎臓の機能障害、溶血・血小板減少を伴うHELLP症候群などを引き起こすことも。まだ、胎児発育不全や胎児機能不全、胎児死亡などを引き起こすこともあり、お母さんと赤ちゃんのどちらにとっても大変危険な病気です。
妊娠高血圧症候群になる原因は、まだ明らかになっていません。もともと糖尿病や高血圧、腎臓などの持病があったり、肥満、高齢妊娠、家族の高血圧の人がいる、双子などの多胎妊娠、初めてのお産、妊娠高血圧症候群になったことがある場合は、妊娠高血圧症候群になりやすいとされています。
卵子提供による妊娠高血圧症候群への影響
三重大学などのグループが第三者からの卵子提供による妊娠・出産の実態調査を行ったところ、2021年までの4年間で卵子提供により妊娠・出産した女性で分析が可能だった171人のうち、約4人に1人が妊娠高血圧症候群を発症していたとのこと。このうち40代女性の1人が妊娠中に脳出血により亡くなっています。
グループの報告によると亡くなった女性は妊娠前に脳卒中になったことがあり、妊娠による影響は明らかになっていません。ただ、卵子提供を受ける前から高血圧の治療が必要だったとみられるとのことです。
卵子提供は通常の不妊治療に比べて高齢出産になるケースが多く、実際に今回の実態調査でも半数以上が45歳以上だったとのこと。高齢出産が妊娠高血圧症候群のリスクを高める要因になっている可能性があるとし、安心して妊娠・出産できる体制の構築が必要と結論付けています。
実態調査を行った三重大学の池田教授は「法整備がされていないことが大きな問題」とし、卵子提供での妊娠を目指される方は事前の健康チェックを行ってリスクを認識しておくことが大切だと述べています。
参照元:NHK(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231108/k10014250501000.html)
事前の健康チェックや安心できる環境構築が大切
卵子提供を受けるにはさまざまな条件があり、結果的に高齢出産になる方が多い傾向にあります。高齢出産は妊娠高血圧症候群になるリスクが高いとされているので、卵子提供による妊娠・出産を希望される方は事前の健康チェックが大切です。また、国内の法整備もまだ進んでいない状況のため、卵子提供による妊娠・出産を希望される方が安心して出産できる環境の構築が必要になってくるでしょう。
健康チェックや不安が少ない環境での出産を実現するには、第三者からのサポートが欠かせません。加えて出産後も母子ともに健康に過ごせるよう、経験豊富かつ信頼できるエージェントへ相談するのをおすすめします。