JISARTにおける卵子提供の基準とは
日本国内での卵子提供施術を統括しているJISART(ジサート:日本生殖補助医療標準化機関)は、不妊治療を専門とするクリニックによって結成されている団体です。2003年3月に「安心と安全と満足を実感して頂ける生殖医療を提供する」という理念の元に設立されました。
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)とは
生殖医療の発展のため、不妊治療を専門とするクリニックによって結成された団体で、2019年現在は全国30施設が加盟し、施設相互の審査と患者さんからの意見、要望のヒアリング、医師、看護師、医療事務などスタッフ教育のセミナーなどを開催しています。
また、卵子又は精子の提供を受けることに関するガイドラインが定められていて、このうち、JISARTの卵子提供ガイドラインの適応と認められれば、「卵子提供実子施設」において治療を受けることができます。
JISARTで卵子提供を受けるための条件
JISARTを通じて卵子提供を受けるためには、一定の条件を満たさなければなりません。その条件は、主に3つ。卵子が存在しない、体外受精で妊娠・出産に至らなかった、婚姻関係がある夫婦であることです。一つずつ詳しく見ていきましょう。
1.卵子が存在しない場合
JISARTで卵子提供を受けるための条件の一つは、卵子が存在しないことです。例えば、40歳未満に卵子が消失して月経がなくなる早発閉経や、卵巣摘出などで卵子がない場合もありますが、このような状態にある女性は卵子の提供を受けなければ妊娠ができない医学的理由が認められるので、JISARTの卵子提供ガイドラインの適応となり、卵子提供実子施設において治療が受けられます。
2.体外受精で妊娠・出産に至らなかった場合
JISARTの卵子提供ガイドラインは、卵子提供を受けるための条件として次のことも定めています。
- 6 回以上の夫婦間体外受精(採卵)によっても妊娠または出産に至らなかった
- 不妊の原因が卵子にある
- 今後妊娠の可能性が極めて低いと医師が判断した場合
卵子に原因があるかどうか分からなくても、体外受精を何回行っても結果が出ない場合でも、JISARTの卵子提供ガイドラインの適応になります。
3.婚姻関係がある夫婦である
卵子提供受けられる3つ目の条件は、「婚姻関係が夫婦である」こと。この場合の婚姻関係について、JISARTの卵子提供ガイドラインは厳正に定義しており、被提供者については戸籍(日本国籍を有しない者については同等の公的書類)により法律上の夫婦であるという条件があります。従って、法律上の夫婦でない内縁夫婦は、婚姻関係があるとは認められません。
卵子を提供できる者の条件
1.原則20~35歳の女性
卵子を提供できる条件の一つは、提供者の年齢が原則20~35歳であることです。ただし、年齢条件を満たさない場合でも例外的に提供できるケースがあります。その例外とは、以下の通りです。
- 指定した提供者から卵子の提供を受ける特別の必要がある
- 提供される卵子に異常等がない根拠を医学的見地から提示できる
- 提供者の採卵時における年齢が35 歳以上40歳未満で、提供者とその配偶者、被提供者に対して以下に該当し、かつ全員の書面による同意が得られている状態
- 年齢の上昇に伴う妊娠率の低下
- 染色体異常の増加
- 流産率の増加などの固有のリスクがある
2.提供者は原則「第三者」
卵子提供者になるもう一つの条件は、原則「匿名の第三者」であることです。ただし、生まれた子の福祉の観点を踏まえた上で以下の条件を満たせば、親族・友人でも提供者になれます。
- 倫理委員会出席委員の3分の2以上の合意がある
- 匿名の提供者が見当たらず、親族,友人等の知られた提供者から提供された精子・卵子を利用することが医学的にも社会的にもやむを得ない
- その利用が生まれる子の福祉に反しないと判断される場合
国内での卵子提供は難しい?
JISARTで卵子提供を受ける対象となるにはいくつかの条件があり、必要書類を用意して審査を通過しなければなりません。審査を通過して実際に治療を開始できるようになるまでは、約1年かかると言われています。具体的な条件としては、一つめが「50歳未満で早発性卵巣機能不全」であること。二つめが「夫婦で6回以上の体外受精を試みたが妊娠できず、医師も妊娠の可能性が低いと判断した」場合です。病気が原因で起こった早期閉経、遺伝的に妊娠が困難な場合に限定されているため、不妊治療を希望する人の大半が悩んでいる「加齢による不妊」が理由だとJISARTでは残念ながら認められていません。
また卵子は姉妹などの親族からしか提供が認められておらず、エッグバンクの利用もできないのです。不妊治療を希望している人の中には、身近な人にもなかなか伝えられずに治療を行っている人もいます。親族に卵子ドナーとして適齢の女性がいるか、そしてその女性が協力してくれるのかも考慮する必要があるでしょう。
審査を無事通過しJISARTが指定する医療機関にて卵子提供を受けるときは、検査やカウンセリングだけで100万円ほどの費用がかかります。体外受精などの費用も合わせると、1回あたり150万円程度になるでしょう。海外で卵子提供を行った場合、アメリカだと1回あたり500万円以上、比較的安い台湾でも200~300万円程度かかるので、それに比べると国内での卵子提供はリーズナブルな価格です。海外ではドナーに対し謝礼として50~80万円程度支払いますが、日本だとあくまでボランティアという扱いなのでドナーにかかる手術費用や経費以外は特に払わないことで金額にも大きな影響が出ています。
卵子提供エージェント一覧で比較はコチラ卵子提供の斡旋が受けられるクリニック
かしわざき産婦人科
かしわざき産婦人科は、最新の設備と医療体制を整えた産婦人科クリニックです。体外受精や顕微授精など一般的な不妊治療を行いつつ、日本の法律では禁じられている卵子の第3者提供にも精通。希望者にはカウンセリングときめ細かいサポート、十分な情報提供を行いながら、提携しているアメリカのクリニックを紹介したり、通訳を含めたコーディネートができるエージェントの紹介なども行っています。また、提供卵子ではサンフランシスコの機関とも提携しています。
セントマザー産婦人科医院
セントマザー産婦人科医院は福岡県北九州市にある不妊治療専門のクリニックです。JISARTの審査基準を満たした認定施設であり、さまざまな不妊検査や不妊治療が可能。卵子提供ではJISART認定施設、あるいは台湾のセンター紹介による治療が受けられます。
また、セントマザー産婦人科医院では、患者さんが通いやすいよう診察を平日・土日祝に実施。診察時間も夜まで設けているため、仕事をしながらでも無理なく通えます。遠方から来院する患者さんも多く、全国各地にある連携病院で治療を進めることもできます。