はじめての卵子提供ガイド

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受ける条件はある?

卵子提供を受けるための基準・方法

妊婦

国内と国外では、卵子提供を受けられる基準が異なります。これは宗教や文化の違いにも関係しており、倫理や価値観によりさまざまな現実問題と直結しているからです。生殖医療は、選択肢が多い国もあれば、いくつかの条件をクリアすることで受けられる国もあります。

海外では卵子提供の制限が少なく、40歳未満の早期閉経やターナー症候群、高齢による不妊などにお悩みの方が対象です。(国により基準は違います)

国内で卵子提供を受ける場合

国内で卵子提供を受けられるのは、卵子が原因で妊娠が望めない方に限定されます。

日本生殖補助医療標準化機関(JISART)のガイドラインにも公開されており、妊娠の成立しない原因が他にある場合は、卵子提供を選択できません。[注1]

[注1]一般社団法人 日本生殖補助医療標準化機関:精子・卵子の提供による非配偶者間体外受精に関するJISARTガイドライン[pdf]

具体的な条件

体外受精の場合は、この先に妊娠する可能性が低いと医師の判断が必要になります。遺伝子疾患のあるケースでは、着床や出生前検査によって中絶を望まないという前提です。

妻の年齢が50歳程度であることも目安となり、夫婦の健康や経済状況なども関係します。精神的な安定と、生まれてくる子供を養育できることが認められなければなりません。

つまり、高齢による不妊は卵子の病気に該当しないため、提供を受ける対象とはなりえないのです。

インフォームドコンセントでは医師からの充分な説明を受け、説明を受けた日から3ヶ月しっかり考え、夫婦がそれぞれの意思において、一緒に署名押印した書類で明確な意思を示す必要があります。

さらに、提供される卵子が提供日から1年以上空けて使われる際は、再度提供者とその配偶者から書面での同意を得なければなりません。

また、卵子提供者は原則として20歳以上35未満とされています。35歳以上40歳未満であっても、提供された側は妊娠率の低下やさまざまリスクが上昇する可能性に同意しなければなりません。

匿名の提供者が見つからなければ、倫理委員会の出席や3分の2以上の合意によって、親族や友人から卵子提供を受けることもできます。

ただ、生まれてくる子供の福祉に反しないと判断される必要も考えられます。

不妊治療を受ける夫婦は身近な人にも伝えられず治療していることが多く、このように乗り越えなければならない条件の厳しさを考慮すれば、国外での卵子提供を望む人が増えるかもしれません。

日本生殖補助医療標準化機関以外では、NPO法人の卵子提供登録支援団体があります。

早期閉経やターナー症候群の女性に卵子を提供する仕組みを設けていますが、提供者の受付は中止されています。(2018年現在)

そのため、提供できる卵子が保存されているのか、希望者として受け付けてもらえるのかは不明の状態です。

国外で卵子提供を受ける場合

国外で卵子提供を受けるには、提供している医療機関との繋がりを持ったクリニックへの通院が必要です。

個人での申し込みも可能ですが、条件の交渉や安全面において医療機関を経由したほうが良いでしょう。地元の医療機関と連携した治療ができるため、海外へ渡航する際のバックアップも期待できます。

海外では卵子提供がビジネスになっているところもあり、提供者とそれを受ける側の仲介役エージェントも存在しています。

きちんとしたエージェントが大半ですが、言葉の壁があれば表現が難しい話もあるため、十分な情報収集から始めましょう。

国外対応の卵子提供エージェントはコチラ

卵子ドナーの制限

卵子を提供する女性(ドナー)には以下のような制限が設けられています。

卵子の提供回数

JISARTのガイドラインでは、ドナーの卵子提供は3回まで、その提供で生まれた子どもは5人までという制限があります。身体の負担や倫理的観点から、無制限で行うことはできません。同じドナーに依頼できるのは3回まで、ということを覚えておきましょう。

通院回数や時間

倫理委員会でドナー登録のための審査を行っている最中は、検査やカウンセリングのために5回ほどクリニックへ通う必要があります。また、採卵や前後の処置も含めてさらに5回、計10回程度の通院が必要です。

費用

妊娠・出産に際してのドナーによる金銭的負担は一切ありません。カウンセリング・審査にかかる費用や、通院に必要な交通費などもすべてレシピエント(卵子提供希望者)の負担となります。

生まれた子どもについて

ドナーは卵子を提供した結果、妊娠や出産に至ったのかについて希望があれば開示が可能です。しかし、生まれた子どもに会うことはできず、レシピエントからの手紙なども顧問弁護士を通じてのやり取りとなることが多いようです。

卵子提供の適応とは

卵子提供の適応は、卵子提供を受けられる条件を満たしていることを指します。国内の卵子提供は不妊治療を専門とするクリニックで結成されたJISART(日本生殖補助医療標準化機関)が定めるガイドラインに適応していなければいけません。JISARTのガイドラインに適応していない場合は、国外での治療を検討することになります。

妊娠・出産は身体に負担がかかることから、日本生殖医学会倫理委員会では加齢による周産期リスクや養育期間の健康リスクの上昇を考慮し、適応について慎重に検討すべきとしています。

卵子提供の適応条件

国内で卵子提供を受ける場合、「卵子が存在しない場合(早発性卵巣機能不全等)」「夫婦間体外受精を行っても妊娠または出産に至らず、その原因が卵子にあり、医師から今後妊娠の可能性が極めて低いと診断を受けた場合」「重篤な遺伝性疾患の保因者または患者で、かつ着床・出生前検査および妊娠中絶を望まない場合」のいずれかに該当する必要があります。

また、生まれてくる子どもを安定して養育できるのかも求められ、夫婦の健康状態や精神的な安定度、経済的状況なども判断材料になります。

はじめての卵子提供ガイド

40歳以上、早期閉経、ターナー症候群など、排卵の不順が原因で悩む方のための新しい不妊治療「卵子提供」。今や年間300人以上の赤ちゃんが、卵子提供によって誕生しています。そんな卵子提供について、日本が置かれている現状や、海外で移植を受けるために知っておくべきこと、また提供を受けた方、ドナーとなった方それぞれの体験談をリサーチした結果を掲載。卵子提供を望むご夫婦の強い味方となってくれる、国内のエージェントの一覧も掲載しておりますので、参考にしていただければ幸いです。

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