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日本で卵子提供は出来るの?
日本国内での卵子提供は、一定の枠組みのもとで実施されている
国内では法整備が十分とはいえないものの、実施例はある
卵子提供による体外受精について、日本では長く法整備が十分に進んでいない状況が続いてきました。そのため、以前は「国内では原則として難しい」「海外で受けるしかない」と説明されることもありました。
しかし現在は、日本国内でもJISART(日本生殖補助医療標準化機関)のガイドラインや倫理委員会の審査を経て、限られた条件のもとで卵子提供が実施されています。JISARTが公表している実績では、2026年5月31日現在、精子・卵子提供の倫理委員会承認数は合計177件、出生児は134人とされています。
ただし、これは誰でも自由に卵子提供を受けられるという意味ではありません。実施にあたっては、医学的な必要性、カウンセリング、倫理審査、ドナーの条件、子どもの福祉への配慮などが求められます。そのため、国内で卵子提供を受けるには、依然として高いハードルがあると考えられます。
2020年に親子関係に関する法律は成立したが、課題は残っている
2020年には「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」が成立しました。この法律により、第三者の卵子を用いた生殖補助医療で女性が妊娠・出産した場合、出産した女性をその子の母とすることが明確化されました。
一方で、精子・卵子・胚の提供者に関する情報の管理や、提供によって生まれた子どもの「出自を知る権利」については、まだ十分に法制化されていません。卵子提供を検討する際は、治療の可否だけでなく、子どもへの告知、提供者情報の扱い、将来的な親子関係の整理なども含めて考える必要があります。
そもそも卵子提供を受ける条件は?
卵子提供は、加齢による妊娠率の低下だけを理由に、誰でも受けられる治療ではありません。JISARTのガイドラインでは、第三者から提供された卵子を用いる体外受精は、妻の卵子では妊娠が困難で、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って検討されるものとされています。
具体的には、早発卵巣不全やターナー症候群などにより卵子がない、または卵子を用いた妊娠が医学的に極めて困難と判断されるケースなどが想定されます。実際に対象となるかどうかは、医療機関での診断や倫理審査を経て判断されます。
日本で卵子提供を受ける方法
JISARTの認定施設で相談する
JISARTは、不妊治療を専門とする医療機関によって構成される団体です。卵子提供を含む非配偶者間の生殖補助医療について、ガイドラインや倫理審査の仕組みを設けています。
JISARTの枠組みで卵子提供を受ける場合、医学的な適応があることに加え、カウンセリングや倫理委員会での審査などが必要です。また、卵子の提供は、提供者の健康や意思、報酬の有無、出生する子どもの福祉などにも配慮して行われます。
国内での卵子提供を検討する場合は、まずJISARTの実施施設や不妊治療専門医療機関に相談し、自分たちが対象となる可能性があるかを確認することが大切です。
OD-NETを通じた卵子提供支援
OD-NETは、卵子提供登録支援団体として、卵子提供を必要とする夫婦と、卵子提供を希望するドナーをつなぐ支援を行っているNPO法人です。卵子を提供するドナーは、原則として一定の年齢条件や健康状態などを満たす必要があります。
OD-NETでは、ドナーは無報酬のボランティアとされており、治療にかかる費用は被提供者が負担する仕組みです。近年は休業補償などの案内も掲載されているため、利用を検討する場合は、必ず公式情報で最新の条件を確認しましょう。
海外で卵子提供を受ける選択肢
海外では制度が整っている国もある
海外には、卵子提供に関する法制度やドナー登録制度が整備されている国もあります。そのため、日本国内で対象にならない場合や、国内でドナーが見つからない場合に、海外での卵子提供を検討する人もいます。
ただし、海外での卵子提供は、国によって法律、対象者の条件、ドナー情報の開示範囲、費用、滞在日数、医療体制が大きく異なります。また、帰国後に妊娠・出産を受け入れてくれる国内医療機関を事前に確認しておくことも重要です。
海外で受ける場合の注意点
海外で卵子提供を受ける場合、治療そのものだけでなく、妊娠後の管理や出産時の受け入れ体制も考えておく必要があります。日本産婦人科医会では、海外で卵子提供を受けて帰国した場合、出産を受け入れる病院側に、海外の治療施設との情報共有やホルモン補充療法への対応などが求められると説明しています。
また、卵子提供を受ける女性は高年齢での妊娠となるケースもあり、妊娠高血圧症候群、帝王切開、早産などのリスクも含めて慎重な管理が必要です。海外での卵子提供は有力な選択肢のひとつですが、「海外なら簡単に受けられる」と考えるのではなく、制度・医療・費用・リスクを総合的に比較することが大切です。
国内でも法整備に向けた議論が進んでいる
第三者の精子や卵子を用いる生殖補助医療については、近年、国会でも法整備に向けた議論が進められています。2025年には「特定生殖補助医療に関する法律案」が参議院に提出され、第三者の精子・卵子を用いる医療の適正な実施、提供者情報の扱い、子どもが出自に関する情報を知るための制度などが議論の対象となりました。
ただし、法案は審議状況によって内容や成立時期が変わる可能性があります。卵子提供を検討する際は、医療機関や支援団体の情報だけでなく、国会や関係省庁が公表する最新情報も確認しましょう。
卵子提供は国内・海外の違いを理解して慎重に検討を
卵子提供は、国内では限られた条件のもとで実施されている一方、法整備やドナー確保、出自を知る権利などに課題が残っています。海外では選択肢が広がる場合もありますが、国ごとの制度差や医療リスク、帰国後の妊娠・出産管理などを十分に確認する必要があります。
大切なのは、「国内では無理」「海外でするべき」と一方向に決めつけるのではなく、国内の制度、海外の制度、医療上のリスク、子どもの将来に関わる情報開示の問題を比較したうえで判断することです。卵子提供を検討している場合は、不妊治療専門医やカウンセラー、信頼できる支援団体に相談しながら、自分たちに合った方法を慎重に検討しましょう。


