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韓国
韓国の卵子提供事情
韓国では、2005年1月に卵子・精子の売買と利益供与(提供の代価をもらうこと)を禁じた「生命倫理および安全に関する法律(生命倫理法)」が施行され、親族等による無償提供以外の卵子の提供が禁止されました。
もともと韓国では、1987年に卵子提供が開始され、毎年200~300例の卵子提供が行われてきました。韓国における卵子提供は、出産経験のある女性からしか採卵施術を行わないという不文律があったのですが、韓国女性の間では晩婚化・初産年齢の高齢化が進み、1987年に26.4歳だった初産の平均年齢は徐々に上昇。この条件に該当する卵子提供者を探すことは簡単ではなくなってきていました。
そうした中で、不妊クリニックで知り合った患者同士は、その苦痛を理解し同情し合える同病相憐(どうびょうそうれん)の思想を抱くようになり、不妊治療費を分け持つことを条件に卵子を融通し合う「卵子の共有(エッグ・シェアリング)」が行われるようになったのです。
しかしそれが卵子の売買に発展、2001年1月に卵子提供仲介会社の「DNAbank」が設立されたことで卵子売買は公然と行われるようになり、日本人の不妊夫婦が渡航して卵子提供を希望するようにまでなりました。
そのような状況を受けて「生命倫理法」が施行された後は、卵子の闇市場が次々と摘発されたわけですが、2008年12月には「生命倫理法」が改正、卵子の無償提供の原則が改められ、不妊治療を受けている女性同士で「卵子の共有(エッグ・シェアリング)」を行う場合は、実費補償が認められることになりました。
韓国で卵子提供を受ける際の注意点
韓国では長年にわたって卵子提供が行われてきた背景があり、技術的には一定のものがあると言ってもいいかもしれません。ただ、それは韓国人として身元が明らかな人が施術を受ける場合に限られるでしょう。
上記のような事情から、日本人として韓国で卵子提供を受けることには、一定以上のリスクがあると言えます。「親族以外」から「売買」という形で提供を受けるのは違法行為にあたるからです。また、韓国の病院の中にはリスクシェアプランという形で患者を募っているところもあるようですが、多額の費用がかかるだけでなく、患者を集められない、すなわち規模や技術に自信のないクリニックが行うことが多いようです。
韓国で卵子提供を受けることを検討しているのであれば、まずはこうした現地の事情、そしてリスクを頭に入れておく必要があるでしょう。その上で、信頼できる、法に抵触しないルートを確保するべきです。