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高齢出産でも卵子提供を受けることが出来る?
卵子提供を受ける年齢の上限は?
卵子提供による妊娠を望む場合、もっとも気になる点は年齢でしょう。
法整備がなされていない日本国内では、JISARTの「卵子提供ガイドライン」に準拠した条件で卵子提供を受けます。このガイドラインにおいて、「加齢により妊娠出来ない夫婦でないこと」が卵子提供の条件として明記されています。
「加齢により妊娠できない年齢」は医師の診断によって多少異なりますが、自然閉経の平均年齢である概ね50歳程度と考えられます。
なお、NPO法人OD-NETでは、女性の年齢は登録申請時40歳未満になっています。
では50歳を超えていれば不可能なのかというと、そんなことはありません。海外であれば、卵子提供を受けることが出来る年齢ははっきり決まっていません。実際50代で卵子提供を受ける人も少なくないようです。
高齢出産は特別なことではない
一般的に、35歳以上で初めて出産する場合が高齢出産に該当します。現在、平均初婚年齢は女性の場合29歳、平均初産年齢はすでに30歳を超えています。それ以上の年齢から妊娠しにくいと悩み、不妊治療を行なうとなるとそもそも高齢出産になってしまうことが多いのが現状です。
実際に日本では、高齢出産そのものは珍しくありません。不妊治療の技術が発達したことで50代での超高齢出産も増えつつあります。
海外で卵子提供を受ける人のほとんどは40代以上の高齢出産。どうしても出産を諦めきれず、卵子提供を受けたいと考え始めるのは40歳を超えてから、というカップルが多くなります。高齢出産だから卵子提供による出産が出来ないということはないのです。
高齢出産で卵子提供を受けるメリットは?
高齢出産で卵子提供を受けるメリットは大きく2つあります。
1.妊娠の可能性が上がる
年齢によって妊娠率は下がっていき、45歳で体外受精による成功率は5%。ですが卵子提供なら卵子の質は影響しないため、妊娠する可能性は格段に高まります。例えば「Act One」での初回の妊娠率は80%以上だそうです。
2.流産率が低下する
45歳以上ですと、流産率は66.0%となります(2010年時点の情報※注1)。
この高い流産率のもっとも大きな原因は染色体異常によるものです。そして染色体異常が増えるのは卵子の老化によるものが多いので、卵子提供を受けた場合流産率は低下するのです。
また着床前スクリーニングが認められている国で卵子提供を受ける場合は、受精卵の状態で遺伝子を調べることもできます。
[注1]厚生労働省:不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会[pdf]
卵子提供はリスクが高い?
卵子提供で考えられるリスクとしては、以下の3つが挙げられます。
- そもそも高齢出産となることのリスク
- 多胎出産の可能性
- 高額な費用
それぞれ詳しく説明しましょう。
高齢出産のリスク
卵子提供によって高まるリスクとしては、卵子提供だからというよりも高齢出産が大きな原因になります。
高齢出産で高まる代表的なリスクとしては、
- 妊娠高血圧症候群
- 妊娠糖尿病
- 早産
などがあります。
多胎出産のリスク
日本国内で行なう卵子提供では受精卵を1つだけ移植しますが、多胎になる可能性はあります。海外で行なう場合は、受精卵をふたつ移植することが多いので多胎となる可能性が高くなります。
多胎出産はもともと通常の単胎よりもリスクが高いため、高齢出産のリスクに併せて、多胎によるリスクも上昇します。
多胎出産で高まるリスクとしては
- 早産
- 妊娠高血圧症候群
- 子供の低体重
などが挙げられます。
卵子提供だからリスクが高いというより、卵子提供で出産を考える年齢が高いため高齢出産になりやすく、多胎出産となることが多いためさらにリスクが上昇する可能性があることはしっかり考えましょう。
費用のリスク
自然妊娠よりも多くの費用が必要になるのもリスクの1つ。
日本国内で卵子提供を受けることが可能であれば、ドナーに謝礼を支払う必要はないので費用は100万円以下で妊娠できるケースもあります。
一方海外で行なう場合、どの国で受けるかで大きく費用が異なりますが、200〜500万円ほどはかかることになります。
子供は産めば終わりというわけではなく、育てていくためにも費用がかかります。高齢出産の場合は子供が成人する前に定年になる可能性も高くなるので、資金に余裕のあるカップルでなければ海外での卵子提供に踏み切るのは難しいかもしれません。
卵子提供のリスクを下げるには?
卵子提供のリスクをできるだけ低下させるには、可能な限り早い時期に妊娠することが上げられます。ですが特に海外で卵子提供を受けるような場合には、それができなかったからこその選択肢となるケースが多いでしょう。
健康に注意して、通常の妊娠よりも気を配り、お金を使っても高齢出産となる以上リスクを完全に無くすことは出来ません。高齢出産で卵子提供は出来ても、相応の覚悟は必要になるでしょう。